実家じまい・空き家

実家じまいの挨拶、親戚と近隣にいつ何を伝えるか 順序・手土産・形見分け

実家じまいの前に親戚へ伝える順番と時期、解体や引き渡しの前に近所へ挨拶するタイミング、手土産の金額の目安、形見分けの声のかけ方を、文例つきでまとめました。

しまいごとノート編集部
実家の玄関先で、手土産の包みを持って近所の人に挨拶する様子
目次
  1. 親戚には「決める前」に、関わりの深い順で伝える
  2. 相手ごとに変える伝え方と、言い方の例
  3. 近所への挨拶は「空き家になるとき」と「工事・引き渡しの前」の2回
  4. 手土産の目安と、留守だったときの対応
  5. 形見分けの声かけは、相続の見通しを立ててから
  6. まとめ

親戚には「決める前」に、関わりの深い順で伝える

実家じまいで親戚ともめる原因の多くは、売却や解体を契約のあとで知らされたことへの不満です。家の名義が親や相続人にあっても、その家で育った叔父や叔母、盆や正月に通った親戚にとっては思い出の場所です。あとから知らせると、決めた中身よりも「相談がなかった」ことを責められやすくなります。

連絡は、相続に近い人から始めて、少しずつ外へ広げます。

  1. 相続人になるきょうだいで、手放す方針、時期、費用の分け方の案をそろえる
  2. 親の兄弟姉妹など、実家で暮らしたことのある親戚に伝える
  3. 仏壇やお墓を一緒に守ってきた本家や分家の親戚に伝える
  4. いとこや遠い親戚など行き来の少ない人には、方針が固まってから電話やはがきで知らせる

1が終わらないうちに2へ進むと、きょうだいで話がずれ、親戚がどちらかの味方につく形になりがちです。伝える時期は、不動産会社や解体業者と契約する2〜3か月前を目安にします。この時期なら「まだ決めきっていないので、気になることがあれば聞かせてほしい」と言えます。相手の希望も、形見分けや法要の段取りに反映しやすくなります。

お墓も移す場合は、改葬許可を今お墓がある市区町村に申請します。墓参りの場所が変わることを遠方の親戚がどう受け止めるか、この段階で聞いておくと手続きが止まりにくくなります。

相手ごとに変える伝え方と、言い方の例

相手伝える手段伝える内容
親の兄弟姉妹会って話す。難しければ電話手放す理由、時期の案、形見分けで欲しいものがあるか
仏壇・お墓に関わる親戚電話のあとに手紙仏壇とお墓をどうするか、法要の予定
行き来の少ない親戚はがき、手紙家を手放すことと、その時期
菩提寺電話または訪問仏壇の閉眼供養の相談、片付けの日程

理由は短く、具体的に伝えます。たとえば「母が施設に入って3年になります。空き家のまま冬を越すたびに傷みが進むので、来年の春までに片付けて、夏には売りに出したいと考えています」のように、年数と季節を入れると相手が状況を思い浮かべやすくなります。空き家を置いておく負担もあわせて説明できます。2023年に改正された空家等対策特別措置法では、管理が不十分な空き家として市区町村から勧告を受けると、固定資産税の住宅用地特例が外れます。国土交通省もこの仕組みを案内しています。

反対されたら、その場で言い返したり結論を急いだりせず、「どこが気がかりか」を聞いて持ち帰ります。最終的に決めるのは相続人ですが、仏壇の行き先や最後に家へ集まる日など、親戚の希望をかなえられる部分が残っていることは多くあります。

近所への挨拶は「空き家になるとき」と「工事・引き渡しの前」の2回

1回目は、親が施設に入ったり亡くなったりして家が空いたときです。両隣と向かい、裏の家に、子どもの連絡先を書いたメモを渡しておきます。台風で瓦がずれた、庭木の枝が境界を越えた、郵便受けがあふれているといった変化に気づくのは近所の人です。

2回目は、解体する場合は着工の7〜10日前が目安です。解体業者も挨拶に回るので、施主が一緒に回るか、別の日に訪ねます。回る範囲は向こう三軒両隣と裏の家、工事車両が前を通る家、自治会長です。工期、作業する時間帯、重機やトラックが出入りする日、業者と施主それぞれの連絡先を紙にまとめて渡すと、苦情の窓口がはっきりします。建設リサイクル法では、床面積の合計が80平方メートル以上の建物を解体するとき、工事に着手する7日前までに発注者が届け出ることになっています。届出の準備と挨拶を同じ時期に並べておくと、どちらかを忘れにくくなります。

売却して引き渡す場合は、引き渡しの1〜2週間前に長年のお礼を伝えます。買主の名前や売った金額は話しません。自治会費の精算、回覧板を止める時期、ごみ集積所の当番がどうなるかを、このときに自治会長へ確認しておきます。

手土産の目安と、留守だったときの対応

近所へは500〜1,000円程度の品が一般的です。日持ちする菓子や、タオル、ふきんなどの消耗品を選びます。自治会長や、親が長年お世話になった家には1,000〜3,000円程度の品を用意する人もいます。親戚と会って話すときは、3,000円前後の菓子折りを持って行くと手ぶらより話を切り出しやすくなります。※2026年7月時点の目安です。最新の料金・制度は各社公式・自治体でご確認ください。

のし紙は、解体前の挨拶なら表書きを「御挨拶」、引き渡し前なら「御礼」にします。親が亡くなって間もないときは、紅白の水引を避けて無地の短冊にする選び方もあります。

留守の家には、曜日と時間帯を変えて2回訪ねます。それでも会えなければ、工期と連絡先を書いた手紙を品物に添えて郵便受けに入れます。食べ物は傷むことがあるので、この場合はタオルなどにしておきます。

形見分けの声かけは、相続の見通しを立ててから

形見分けは、遺言の有無や遺産分割の方向がきょうだいの間で見えてから親戚に声をかけます。仏式では四十九日法要の前後に話を出す家が多くあります。実家じまいと重なるときは、片付けで家財を運び出す日の1か月前までに案内を出します。

伝える文は、期限と、来られない人への対応を入れておくと行き違いが減ります。

「○月末で実家を片付けます。父が使っていた釣り道具と本、母の着物が残っています。欲しいものがあれば○月○日までに連絡をください。来られない方には写真を送ります。送料はこちらで負担します」

骨董品や貴金属など値段のつくものは遺産分割の対象になり、相続人以外に渡すと贈与として扱われる場合があります。国税庁は贈与税の基礎控除を1年に110万円と案内しています。高く売れそうなものは、配る前に査定額をきょうだいで共有しておきます。

先に確認すること

相続人の中に相続放棄を考えている人がいる場合、価値のある遺品を持ち帰ったり親戚に配ったりすると、相続を認めたとみなされて放棄できなくなるおそれがあります。相続放棄は、原則として相続が始まったことを知った日から3か月以内に家庭裁判所へ申し立てると裁判所が案内しています。形見分けの声かけは、放棄するかどうかが決まってからにしてください。

読者の疑問

親戚が引き取らなかった家具や衣類を、「無料回収」のチラシの業者に頼んでもいいですか。

しまいごとノート編集部

家庭から出る不用品を回収するには、市区町村の一般廃棄物処理業の許可が必要です。環境省や国民生活センターは、無許可の業者に頼んだあとで高額な料金を請求されたり、不法投棄されたりするトラブルに注意を呼びかけています。頼む前に、実家のある自治体の許可業者一覧で業者名を確かめてください。

まとめ

親戚へは、きょうだいで方針をそろえてから、親の兄弟姉妹、仏壇やお墓に関わる親戚、行き来の少ない親戚の順に伝えます。時期は業者と契約する2〜3か月前が目安です。近所へは、家が空いたときに連絡先を渡し、解体なら着工の7〜10日前、売却なら引き渡しの1〜2週間前にもう一度挨拶します。手土産は近所なら500〜1,000円程度で、留守の家には2回訪ねてから手紙を残します。形見分けは相続放棄をするかどうかを確かめたうえで、期限と写真での案内を入れて声をかけます。残った家財は、自治体の許可を持つ業者に回収を頼みます。

実家じまい親戚への挨拶近隣挨拶手土産形見分け解体工事
この記事を書いた人

しまいごとノート編集部

費用相場・手続き・業者選びの下調べ担当

料金は各社の公開価格を取得日つきで、制度は自治体・省庁の一次情報を出典つきで確認しています。 確認が取れていない数値は記事に書きません。誤りを見つけた場合は 訂正の記録に残します。

編集方針 訂正の記録 運営について

関連記事